最近、私の中では貴重な経験が続いています。
「初心者専門」なんて謳ってレッスンしていますが、なかなかサルサ場で「本物の初心者」には会わないからです。彼らが抱くサルサ活動における疑問、不安、悲哀……。それを目の当たりにする機会は、実は私の生活そう多くありません。
参加する会場の選び方がいけないのかもしれませんね。いつも良いDJがいて、楽しく踊れる相手が集まる場所を選んで行っているから。現場の初心者が今、どういう状況に直面しているのか。実はあまり分かっていなかった部分を、最近改めて体験できています。
そして何より思うこと。それは、私が習い始めた時代から、状況はほとんど変わっていないということです。初心者の人と交流し、今「Struggle」していることを聞くと、もう痛いほど気持ちが分かるんです。「だよねーーーー!!」って。
え!?「でもそれって男性だけでしょ?」って?
いやいや、女性もありますよ。「だよねーーーーー」って。私が身をもって経験したのは確かに男性側ですが、女性の気持ちもよく分かります。「それ、難しいよね。どうすればいいか分からないよね。戸惑うよねー!?」って。
ま、だからこそ儲からない割に、私の「初心者専門サルサレッスン」の存在意義もあるんだろうな、と。そんな人たちのヒントや助けになればいいなと思っています。
さて、本題です。「踊れる」「踊れない」の境界線はどこか。
もちろんパフォーマンスじゃありません。シャインでもない。「ペアである程度踊れる相手と踊る」というソーシャル・シーンでの話です。
女性の場合は、間違いなく**「ライトターン」と「クロスボディ」**ですね。
これがいわゆるセオリー通りにできるかどうか。ぶっちゃけ、曲の中でもこれさえちゃんとできれば、ソーシャル会場で踊らされても何とかなります。「楽しかったー!」で終われるんです。半分くらい「なにそれー」という技があってもね。
でも、これが難しい。ライトターンとクロスボディ。この基礎中の基礎といえる技の「正確と考えられ得る動き」は、実は他の人が踊っているのを見て「多分こんな感じだろうな」と掴める想像とは、全く違うからです。
どちらかというと、踊っているシーンを見てから種明かしをされたら、「えー!そんなことやってるの!?」と思っちゃうでしょうね。大多数の人は。
では、それをレッスン内でしっかり説明してもらえるか。私はちょっとそうは思いません。私が習った所もそうだったし、他のレッスンでも、ここをクドクド説明している人は見かけません(あくまで私の経験の範囲ですが)。
どちらかというと、やって見せて「これを真似してくださーい」というスタイルが多いですよね。そして余裕があれば先生が一人ひとり回って、「こうだ」とか「違う」とかアドバイスをくれる。このわずかな時間だけが、女性が「正確と思われる動きのコンセプト」を言語化して得られる唯一のチャンスなんです。大抵はそんな機会ない。
だから、難しい。
今度は男性です。
男性の場合、一つひとつの技の形は結構ちゃんとトランスファーされます。なぜなら、見た目と中身がだいたい一緒だから。(私は見た目と違うところを殊更強調して教えていますが……。うん、レアケースですね)。それを見よう見まねでやれば、だいたいイケる。75%くらいは掴めるんじゃないかな。
でも、一番のハードルは多分これ。曲がかかって、「じゃあ自由に、習った技を出してください!」と言われること。これが一番難しいんです。
なぜなら、次に何をやるか「自分で決めないといけない」から。1曲は大体5分前後。となると、8カウントは90〜120回ほど出てきます。「120回も次何するか決めるの!? 無理無理ー!」となりますよね。
実はこれ、種明かしがあります。
踊れる人は「次にどの技をやろうかなー」なんて考えていません。体が自動で動いています。次の技は「癖」でやっています。プリインストールですね。90%くらいは。
でも、これは物理的にレッスンで練習できないのか?
うん、できないかもしれない。私のレッスンではこの「癖をつける練習」をやりますが、やはりメインにはなりにくい。だって、「癖をつけたいので、今日は全く同じことを30分続けます!」なんてやって、生徒さんが次も来てくれますか?
まあ、来ないよね(笑)。
「この先生、手抜きだ。何も新しいことを教えてくれない」と思われちゃう。なので、本人の「やってる感」を優先して、新しい技を教えたりもします。これは仕方ない。
1技やったら、5クラーベ(8カウント×5)くらいベーシックを踏む。その間に、他に習った技を必死に思い出す……。これは焦ります。「早く次を出さないと相手が退屈する、悪いな」と。それでやっと一技ひねり出して、またベーシックの連続……。私もそうでした。全くこれでした。
男性の「踊れる」の境界線。
それは、**「簡単でいいので、ベーシックを挟まずに技を出し続けられること」**です。これが最速でできるようになるレッスンこそが、理想ということになるでしょう。
最近の貴重な体験――本物の初心者とサルサ場を共有すること。
そこから改めて思ったことでした。

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