私は現在マーケティングの仕事をしています。なので集客の強い/弱い、およびその理由を考察するのが好きです。幼少期にクラスメートに不人気だったのが原因でしょうね、「人気がある」って人一倍憧れるんです(笑) 難しいけど面白い。ヘボ・マーケターですが、マニア的に業務に取り組めて楽んでいます。
で、そんな性癖?!からか、サルサ・イベントでも人気のある/無しも興味津々です。ありますよね、同じ会場・曜日でも集客が全然変わる事。「これが理由なんじゃないか、、、」とか考えるの、すごく好きです。
そしてそれが例えばその主催者さんを陰ながら応援していたりすると?! ま、流行ってほしいなぁと思うわけです。生活かけて運営している人は居ないでしょうが、やるなら主催者だってぜひ流行って欲しいでしょう。閑散としているのとすっごい盛り上がっているの、どっちがいいとか言わずもがなですから。
でね、私は思うわけです。集客、けっして主催者さんの顔力だけじゃないだろうと。「あの人は有名な先生で」「すっごい上手いサルサ人の知り合いがいっぱいいる人だから」「だってあの人ぶっちゃけ美人だもん、男性ファンが押し寄せているでしょ」
ゼロじゃないよ?! でもそれで月1回以上くらいでイベントやってて、毎回満員御礼は無理だね。どんなに強いコネクションがあっても「今回は行けるけど、次はちょっと」となっちゃう。広く・浅く支持が必要なのです。おそらくリピーター数は実集客の2倍~は必要?!
そして思う事。継続的に成功しているなぁというイベントは個人的、以下の3点が共通していると思われる。逆にいうとそれ以外の要素は長期的・広範的人気に相関を見いだせない。
・飽きさせないDJスピン
・音量が十分にある
・照度を絞る
でこれまた私が個人的に思うこと。この3つで一番無頓着にされがちなのが照度ですね。そして照度絞りを頻度高く”間違う”イベント、集客は安定していないと見ています。
「そんな証拠どこにもないじゃねーか」
証拠、揃えてみたいですね。イベント会場の照度と集客量の相関実験(笑) でも他の学術研究の中にはそのヒントは山程あるんです。たとえば:
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出典: Steidle, A., & Werth, L. (2013). “Freedom from constraints: Darkness and dim illumination promote creativity.” Journal of Environmental Psychology, 35, 67-80.
概要:
暗い照明は「心理的な自由度」や「創造性」を高める効果があると実証。
被験者は暗い部屋の方が抑制が減り、自由な発想や自己開示がしやすくなる傾向が見られた。
ナイトクラブやバーのような空間で「開放感」「親密性」「非日常感」を演出するために暗い照明が有効であることを示唆。
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出典: van Bommel, W.J.M., & van den Beld, G.J. (2004). “Lighting for work: A review of visual and biological effects.” Lighting Research & Technology, 36(4), 255-269.
概要:
バーやレストランでの照明の明るさが、客の滞在時間や飲酒量、会話の活発さに影響を与えることをレビュー。
暗い照明は「リラックス」「親密な雰囲気」「長時間滞在」を促進する傾向がある。
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出典: Stroebele, N., & de Castro, J.M. (2004). “Effect of ambience on food intake and food choice.” Nutrition, 20(9), 821-838.
概要:
レストランでの照明が暗いと、客はより長く滞在し、より多く食事や会話を楽しむ傾向がある。
暗い照明は「心理的な距離感」を縮め、親密な雰囲気を作り出す。
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こーゆー論文/記事を読むの好きなんです(^o^;) 時間無くなるし理屈っぽくなって嫁に嫌われるので、なるべくしないようにしていますが。。。
でもじゃぁ新たな疑問。なぜ日本だけじゃない各国政府は「ダンスクラブ等で照度を10ルクス以下にするな」的な行政指導をしているのか。
顕著なのがイギリスです。1994年の「刑事司法・公共秩序法(Criminal Justice and Public Order Act 1994)」で「反復するビートを持つ音楽による大規模集会(レイヴ)」を規制する条項があります。
タテマエは治安維持とかドラッグ対策とか言ってますけどね。でも常識的に分かるでしょう。関係ないよね?! 本当の目的は「反体制的な若者文化の抑制」、これは議会議事録にも書いてあります。現政権が自分の治世を長引かせたいが為の、極めてヨコシマな規則なんですね(^o^;)
さて。ではもし皆様が「暗くするのは盛り上がるサルサ・イベントにとって有益であり、且つ規制する行政指導は利己的な理由からだ」と理解したとしましょう。でも私は「じゃぁ暗くするか!」とはならない人も多いと思います。それは日本人特有の特性に大きく影響されるものです。
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Stroebele, N. & de Castro, J.M. (2004). Effect of ambience on food intake and food choice. Nutrition, 20(9), 821-838.
要点:
照明の明るさが気分や食事の選択に与える影響を実験。
暗い照明は一部の人にとって「くつろげる」「親密な雰囲気」となるが、他の人には「不安」「安全でない」と感じさせることがある。
特に初めての場所や一人での利用時に、不安感が強まる傾向が見られた。
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Kunio Yamada, Tetsuya Kato, et al.(2022). Population-based association of the serotonin transporter gene polymorphism (5-HTTLPR) with anxiety-related personality traits in Japanese”
要点:
日本人集団におけるセロトニントランスポーター遺伝子多型(5-HTTLPR)はs/s型の頻度が高く不安傾向との関連がある
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実は私はこれに関連しそうな”事”を目撃しました。主催者さんが会場の照度を暗くしたのですが、それを受付とかをやっているアシスタントっぽい人が明るく戻したんですね。4回くらいあったな。
私は最初「なぜそんな妨害をするのかな?」と思いました。アシスタントなんてやっれば「人気イベントになって欲しい」の気持ちは人一倍だろう。単に暗いと人気イベントになりやすいという研究結果があるのを知らないから?!
いやいや、でもそれだけじゃわざわざ”明るく”なんてもしないでしょうね。そこには敢えて明るくしたい、何らかの理由があるはずです。
で、気がついた。おそらくその人は暗いと過剰に不安になりやすい人だった。もしくはお客さんに不安になりやすい人がいて、「暗すぎる」とクレームをされたから?! だからそーゆー炎上を受けない様に明るくした可能性。もちろんそれがイベント人気にマイナス影響が出る事を知らない、というのもブレントされてね。
そしてここからが本題でしょう。マーケティングとしてはどう考えるべきか。何事にもマイナス面とプラス面があるわけで、成功する経営者はそれを鑑みた上で施策実施を決定する必要があります。ここで比較するのはこの2つでしょう。
暗くて不安になるからリピーターにならない人の量
vs
暗いと楽しくなりやすいとリピーターになる人の量
さて、どちらが多いでしょうか!? またはどちらの方が長期的に発展性があるか?!、なんてのも重要な指針ですね。総合的に判断すべきです。私は、、、どこをどう考えても後者を選ぶかな。特に気難しい不安屋の人心なんてコントロール不可能。去るものは追わず、来るものは拒まずが基本でしょ。
どの商売でも言えますが、集客で成功したいという本気度・意気込みと、その為なら少量のクレームは受ける覚悟とかが試される気がしますね。
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